陰と陽の真ん中「中庸をとる」ことが大切なワケ
2018.00.00
太陰大極図(陰陽太極図)の陰陽が半分ずつの意味
陰と陽には、善悪も優劣もありません。しかし、何事においても、極端に偏りすぎるのは良くありません。太極図で陰と陽が半々に描かれていたように、陰の気と陽の気は、半分ずつのバランスで持つのが理想です。
仕事や恋愛、健康、将来の不安など、私たちの悩みや迷いは、すべて、陰と陽のバランスが崩れることによって起こります。人間の性格は、生まれ持った素質の要素だけでなく、まわりの環境や置かれている状況によって、陰と陽が常に変化します。そして、どちらか一方が過剰になってしまうと不具合が起こるのです。
陰の気が強まりすぎた場合
動きや発言が鈍り、心身ともに冷えて停滞してしまいます。
●優柔不断になり自分で物事を決められない
●依存体質になる
●消極的で、人に対して言いたいことを言えない
●泣き上戸で、落ち込みやすい
●心配症で、会話や行動のスピードが遅い
●体調面では、冷え性、低血圧、
貧血気味、寝起きが悪い
陽の気が強まりすぎた場合
体温が上昇して、頭に血がのぼり、イライラしがちになります。
●頑固で自己中心的になる
●協調性がなく、調和を乱しがち
●イライラしやすく、暴力的になる
●快楽を追求する
●口数が多く、早口になる
●体調面では、心拍数が高い、
高血圧、のぼせやすい
このように、陰に傾きすぎた人は、全体的に頼りない印象になってしまいますし、陽に傾きすぎた人は、一見すると利己的な印象です。しかし、それぞれ裏を返せば、陰は他人を優しく受け入れる心や、じっくりと内省する静かな心を持っており、陽はまわりを引っ張ってくれる頼もしさを備えているとも言い換えられます。ですから、それが一概に悪いとは言えないのですが、特徴を見てみると想像できるように、どちらか片方のエネルギーだけが強まると、心や身体に大きな負担がかかってしまいます。
そこで、目指したいのが「中庸(ちゅうよう)」のバランスです。「中庸」は陰にも陽にも偏らない、真ん中の状態です。もともとは儒教の思想で、論語の原文の中に「中庸の徳たるや、それ至れるかな」という孔子の言葉が残されています。「考えが一つの立場に偏らず、過不足もなく、適当なバランスで行動できることは、最高の人徳である」という意味の言葉です。
中庸のバランスを保てていると、心にも身体にも負担がかかりません。傲慢でなく、かといって控えめでもない、相手や自分を俯瞰して見られる状態です。発言すべき時は発言し、控えるべき時は控え、臨機応変に最適な判断ができます。常に平常心でいられるため、ストレスも起こりにくく、体調面においても、体温・血圧とも正常で熟睡でき、疲れません。陰陽のバランスを整えることで、心と身体の自然治癒力が高まり、自分が本来持っている力を活性化することができるのです。
自分の「気」を中庸のバランスへと調整するためには、陰が強まれば陽の気を、陽が強まれば陰の気を積極的に取り込むことが大切です。